日本火山の会

2006年快晴の荒崎・城ヶ島OFF会

2006年3月4日

 前回は雪の中、強行された三浦半島での火山見学会。さすがに露頭を見たりなかったので2ヵ月後の2006年3月に再び三浦半島での見学会を開催しました。前回とうって変わって、今回はこの上ない快晴。花粉が舞い始めるくらいの暖かい天気の中での見学会となりました。

 今回は千葉さんに地質案内をして頂きました。参加者の車とレンタカーで三浦半島南端の露頭を巡りました。周辺にスコリアをもたらした噴火はどんな噴火だったのか、また海の中で土砂がどのように堆積するのか、千葉さんの解説とともに露頭を前にして想像をめぐらしました。  

参考ページ:

三浦半島の地質・地層 
http://www.edu.city.yokosuka.kanagawa.jp/chisou/index.html

 荒崎の公園駐車場でまずは自己紹介。

 駐車場から荒崎の海岸へ。

 露頭を前にして千葉さんの解説を拝聴。

 足元にはスコリアと泥岩が混ざり合った地層が。海底で起こったスコリアを主に含む土砂の流れに未固結で軟らかい泥が巻き込まれて、再び堆積して出来たとのこと。含まれている泥岩は、流れた当時は半固結状態の泥団子のようなものだったといいます。ただの泥ではないけど泥岩でもないので、「偽礫」と呼ばれることもあるそうです。

 小さな断層を発見。

 断層が動いたときにに出来た平滑な断層面“断層鏡肌”を観察。断層面上にほぼ水平方向にのびる平行な筋は“断層条線”。断層がずれるときについた傷で、断層運動の方向を語っています。ここでは水平に断層条線が入っているので、現在の位置で動いたと仮定するとこの断層は横ずれ断層タイプとなります。

 ブーマシーケンスと呼ばれる構造。それほど教科書的なものではないようですが、海底で起こった乱泥流(タービダイト)がある点を通過する際の速い流れから遅い流れへの流速の変化の中で出来る堆積構造です。流れがとても速いときには、粗い粒子のみが堆積し、水平な層構造を持つ粗い粒子からなる堆積物がまず出来ます。少し流れが遅くなると波打った層構造(リップル構造)をもつ堆積物が、さらに流れが弱くなると今度は細かい粒子からなる水平な層構造をもった堆積物がその上に重っていきます。

 荒崎の海岸は地層の露出が大変良く、地層を何百メートルも連続的に追いかけることが出来ます。

 数cm大の大きなスコリアを含む降下スコリア層。1月のOFF会で観察した城ヶ島のスコリアよりも大きいものが多いです。黒っぽいスコリアに混ざって、空気中で高温酸化して赤くなったスコリアも見られます。このことから、スコリアをもたらした噴火は水面より上で起こり、酸素が豊富な大気中にスコリアが放り出され、高温酸化された後、海底に降下・堆積したと考えられています。

 噴火で吹き飛ばされた火口周辺の岩石(類質・異質岩片)が、角ばった礫(角礫)として堆積しています。中には、噴火前の海底だった軟らかい泥の層にまでめり込むように堆積している大きな角礫も見つかります。海底にめり込んでいるという事実は、海底付近での水平方向の移動がほとんどないということを示唆しています。つまり、この場所まで水平に運ばれるためには、大気中での運搬の影響が大きいと考えられます。このような堆積物は、陸上での降下物の事例と比較することによって、堆積した場所から噴火が起こった火山までの距離を推定するためのひとつの情報になります。

 

   富士山周辺でこのようなサイズの岩片が降下スコリアに含まれるのは、近年でもっとも激しかった宝永噴火による宝永スコリアでも火口から東側の5km程度の範囲に限られているそうです。しかも宝永噴火の堆積物は12月の強い西風の影響を受けて、風が無いときよりも遠くに飛ばされています。

 荒崎から伊豆半島大室山までの距離は56km、相模トラフまでの最短距離は30km、相模トラフの東側の相模海丘までの距離でも20kmあります。荒崎にスコリアをもたらした火山はどこにあったのでしょうか?荒崎から5km以内には火山はなさそうなので、私たちが知らない遠い過去に起こった、宝永噴火を越えるような大噴火が荒崎近くであったのかもしれません。

→相模トラフ・相模海丘については平塚市博物館のページ

 こちらは“dish structure(皿状構造)”という皿状の模様が地層に入っている露頭です。スコリア堆積時にスコリアの粒の間に閉じ込められた水が、後に上方に抜けてできた出来た“脱水構造”だと考えられています。

 何故か、水晶を海岸で見つけました。海岸の地層から出るはずは無いので、誰かが持ち込んだものと思われますが、いったい何故に?

 こちらは水平方向の流れの化石であるリップル構造。ながれの方向は左から右と読み取られます。

 潮溜まりでは、ウミウシを見つけました。

 車で浜諸磯に移動しました。共役断層(きょうやくだんそう)の露頭を前に解説を頂きます。水平方向に圧縮の力が働いた結果、水平方向には縮む形、上下方向には広がる形でできたXの字の対の断層です。

 周辺の地層は、あちこちの方向を向いた数m〜数十mの地層のブロックが混在しています。海底で起こった大規模な地滑りの結果、このようなあちこちを向いた混沌とした地層になったとこのと。

 激しく折れ曲がった地層を発見。

 最後の見学地・城ヶ島に移動。

 足元にはスランプ構造が。固まっていない海底の堆積物が力を受けてグニャリと曲がって出来た構造です。

 前回も訪れた“火炎構造”が見られる露頭。日もだいぶ傾いてきました。

 横から見ると火炎模様ですが、上から見るとこんな感じです。白い部分がティラミスに見えてくるという感想も。キッチン地球科学実験で火炎構造が出来ないかと盛り上がりました。この露頭を最後に野外観察は終了。

 お約束の反省会(打ち上げ会)を北久里浜で開催しました。

 結構歩いたのでお腹もペコペコでした。

 昼食のお弁当を食べた荒崎での参加者の集合写真。皆様、お疲れ様でした。また次回の野外見学会もご参加下さい。

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