北海道駒ケ岳

三波川・御荷鉾 変成岩を観察する会

2007年8月25日

 今回のミニ巡検は活火山ではありません。その不思議な岩の景観が有名な埼玉県北部「長瀞」の更に北側の群馬県との県境付近に広がる「三波川」と「御荷鉾山」周辺で広域変成岩を見学しようと言うものです。今回の参加者は5名。コンパクトに纏まって少々後部座席はきつめでしたが、一台の車ですいすいと移動が出来ました。
 第一集合地点はJR高崎線の北本。第二地点の西武線「長瀞」駅で全員定刻集合が出来ました。駅前には変成岩のモニュメントがお出迎えです。今回は特別天然記念物に指定された「長瀞」はハンマーを振えないので、見学対象からは外しました。

長瀞駅前の変成岩のモニュメント




蛇紋岩特有の油脂状光沢の滑石
 第一ポイントは長瀞から三波川沿いの鬼石に向かう途中、「出牛」から西の風早峠に向かう途中の浦山集落の更に西。「枕状溶岩がぺちゃんこに圧砕されている」との触れ込みの露頭。

 目標地点にはぼろぼろに風化した玄武岩らしきものしか見付からないので、捜索範囲を広げてやっと情報と同じ景色の露頭を発見。でも、どうやら蛇紋岩の露頭です。枕状溶岩に見えない事もありませんが、蛇紋岩特有の油脂状光沢の滑石が観察されますし、傍には アスベスト状のものも発見。表面には変形によると思われる模様も観察されます。三浦半島や南房総とは又異なった様相の蛇紋岩にお目に掛かれました。


 第二ポイントは冬桜で有名な桜山の山麓。道路沿いに緑色片岩の採石場の跡地が面しています。素晴らしいサンプルを採取出来て皆さん大満足。

 第三ポイントは紅簾片岩の採石場ですが、ガイドブックの記載とは状況がかなり変わっていてうっかり見逃し諦めて桜山に上ります。途中に見られる採石場は緑色片岩が主体ですが、小さな砕石場を見つけて立ち寄りました。細かく砕いておそらくガーデニング等に販売する為の砕石場のようですが素材置き場には紅簾片岩と緑色片岩が沢山転がっています。中には石英脈を介して両者が接触しているものもあります。紅簾片岩は含まれるマンガンの影響で実に美しい輝きがあります。



紅簾片岩と緑色片岩の混在相。
左側が紅簾片岩、右側が緑色片岩。
 第四ポイントは下久保ダムの下部調整池堰堤付近の黒色片岩。これは比較的簡単に露頭が見付りました。落石防止用金網の向こうです。これも実に美しい黒と言うよりは銀色の艶があります。

 そろそろ、昼時となったので昼食場所を探して道の駅「おにし」に辿り着きました。残念ながら涼しい館内は食べ物持込禁止なので、古い校舎を眺める植込みの日陰で変成岩に腰を掛けての昼食です。昼食後館内を探索、嬉しい事に三波川変成帯の研究で高名な小藤文次郎氏の紹介と様々な変成岩の断面の研磨標本が展示されています。更に道の駅傍の展示販売場で庭石用の様々な変成岩を見る事も出来ました。(最高3000万を越えていました)






 第五ポイントは、鮎釣りが盛んな神流川の上流、柏木での珪質凝灰岩露岩・チャート・粘板岩等の観察です。透き通った川に鮎が銀鱗をきらめかせます。ここは道路の改修で当初の目標の道祖神よりもバス停が目標となり、更に旧道部分が駐車にもってこいの状況です。観察の後、バス停横の小公園に咲くユリの花にカメラを向けてしばの小休止です。


 第六ポイントは川沿いに更に西に向かった万場高校の対岸。玄武岩の枕状溶岩が緑色岩に変成されたものがある筈です。河床に降りる場所が見付からず行ったり来たりしましたが、諦め掛けた時に生利大橋の右岸側の袂に階段を発見。営林事務所前の道路に車を止めて河原に下ります。目標付近の崖は確信を持って枕状溶岩とは言えそうにないので、河原を上流に向かって藪漕ぎしたところ、やっと河原の大きな転石に枕状溶岩を発見。変成岩の場合は枕状溶岩の周辺急冷ガラス層が本体と同様に変成するのでガラス層が頼りの判別法は役に立ちません。僅かに本体部分と周辺層が違う程度でした。

 他にも色合いは違いますが、間違いなく枕状溶岩だなと言った風の転石が在りましたので、分布領域はかなり広いようです。後で気付いた事ですが、左岸の万場高校側にも枕状溶岩の露頭が在りそうです。左岸の方が河床に降りるのは遥かに楽なようです。



変成を受けて緑色岩となった枕状溶岩

変成を受けて緑色岩となった枕状溶岩



 第七ポイントは御荷鉾山です。案内書の地図に記載した分布域が違っているのに気付いたのは申し訳ない事に帰宅後でした。西御荷鉾山と東御荷鉾山の間の投石峠で露頭を探したのですが見付からず、諦めてスーパー林道を東御荷鉾山方面に向かった山側の崖にやっと枕状溶岩を見つけました。万場高校対岸の枕状溶岩と同様に周辺急冷ガラス層が本体と一緒に変成している為に、鴨川の枕状溶岩とは外観が異なります。「火山の無い千葉で火山に思いを馳せる会」の記録と比較して頂ければ幸いです。この写真では左側が溶岩噴出時の下側と成ります。残念ながら、枕状溶岩の断面だけで外側の表面は観察する事が出来ませんでした。

 下界の暑さを他所に、御荷鉾山の標高1000m付近はかなり涼しい一時でした。出来れば下仁田方面まで足を伸ばしたいと考えていましたが、残念ながら時間の余裕は無く この露頭を最後に帰路に着きました。


 恒例の反省会はJR高崎線の北本駅近くで滞り無く開催されました。終日、運転役を担って頂いた「こおろぎさん」お世話になりました。ベテランの案内者は居ませんが、様々なガイドブックや資料を見ながら参加された皆さんで  露頭を見ながら議論するのも楽しい一日でした。資料集には幾つかの文献を綴じ込んで置きましたが、何れ折を見て下仁田付近の断層地形や群馬自然史博物館を訪ねるミニ巡検を開催したいと考えます。途中で見かけた「シュウカイドウ」の花と参加者の記念写真をご紹介します。






途中で見かけた「シュウカイドウ」の花


火山の会に関するお問い合わせはこちらまで

火山OFF会TOPページに戻る