北海道駒ケ岳
日本火山の会 '09 秩父OFF会

2009年秩父OFF会
「火山の会的春の秩父路めぐり」

2009年4月18日

 秩父の地質見学会といえば、変成岩、石灰岩、付加体といったキーワードが中心のものになるでしょう。しかし秩父ではもう少し火山のイメージに近い地質の見学ができます。テフラ(火山灰)を使った地形発達史(段丘形成史)を考える見学会です。今回は、秩父盆地の高位段丘を構成する地層を観察し、段丘形成史に思いを馳せます。また2000年に発覚した旧石器ねつ造問題の舞台となった場所でもあることから、火山灰編年学の最先端の知見をいかに利用されてしまったかを、その現場で説明しました。
出発は西武秩父駅です。芝桜見物の観光客をやり過ごして、マイカー3台、14名で出発です。


文責:大石


若御子(わかみこ)断層洞近くのチャート露頭を見学です。「断層掻痕」(擦痕のことか?)と表示してありますが、どう見てもケチな節理にしか見えないような…。案内看板を鵜呑みにせず自分なりの観察をすることが大切です。

こちらが若御子断層洞。こちらの断層鏡肌(要するにきれいな断層のずれた面)は洞内で風化の影響もあまりなく、観察に適しています。秩父盆地の形成に大きな役割を果たしたとみられる断層群の中の一つだそうで、埼玉県指定の天然記念物に指定されています。

若御子断層洞の見学中。

道の駅あらかわで秩父のそばを食べ終えると、程なくSLパレオエクスプレスが力強い汽笛を盆地中に轟かせながらやってきました。しばし撮影会です。

撮影中。動物避けの電気柵がありますが、鉄道マニア避けの役割も果たす?

いちごハウスに吸い込まれていく一行。

というわけで今回の巡検では、今が旬の、また秩父名物のイチゴ狩りを楽しみました。「14人? どうぞどうぞ、好きなだけ食ってくれ」と余裕のご主人に、「ハウス中のイチゴを食ってやろう」と意気込む面々。天気がよく暑いハウス内で、10分食べ続ければもうお腹いっぱい、参りました…

完熟して甘いイチゴも、やや若くてシャキシャキした歯ごたえのイチゴもうまいものです。みずみずしく新鮮な香りのするイチゴは、街中で売っているイチゴと明らかに違います。

尾田蒔(おだまき)丘陵(高位段丘)を覆うローム層の露頭見学。下の地面が、ほぼ尾田蒔礫層、すなわちここが河原だった時の河原の石の上限。つまりこのローム層は、段丘形成後(河原が陸化した後)に堆積した風成層であり、この風成層中のテフラによって、段丘形成時期が推定できます。

尾田蒔丘陵は多摩丘陵(1面)とほぼ同時期の50万年前くらいの河成段丘であり、代表的な時間指標テフラである大町A1テフラが観察できます。写真には明瞭な2枚の白色火山灰が写っていますが、下位の厚い火山灰はOD5(尾田蒔5)テフラ。その上の厚さ7-8cmの薄い火山灰が、OD6テフラ。このOD6が、大町A1テフラです。その給源は、北アルプス樅沢岳近くの水鉛谷です。

長尾根「遺跡」の近くにある露頭を観察しました。自然露頭でしたが工事をしており、じきに消されてしまうでしょう。下位が尾田蒔礫層で、その上の風成層にOD1と2テフラが載っています。礫層とOD1の間が、小鹿坂「遺跡」の旧石器が出てきた、いや偽物石器を埋めた層準です。

長尾根「遺跡」は、完全に埋め戻されて影も形もなくなっています。

山の上に登り、秩父高原牧場のソフトクリームを食します。濃厚です。そば、イチゴに続きソフトクリームと、舌もフル稼働する巡検です。

尾根上に堆積している若いローム層です。浅間山から2万数千年前に飛んできた板鼻褐色軽石(As-BPテフラ)が観察できます。また近くには、同じく浅間山からのAs-YPテフラや、八ヶ岳からのYt-Pm4テフラが観察できる露頭もあります。秩父って結構若い火山灰も見られるんですね。

肉眼では何も見えないが、ロームを洗うと火山灰を見つけることができる、マニアックな露頭を紹介し、テフラの見つけ方の説明をしています。ここでは、浅間起源のUG火山灰と、広域火山灰として有名なATが、わずかに堆積しています。
このあと、山を下りて長瀞駅で解散です。お疲れ様でした。結局変成岩は見ませんでした。

翌日は産総研・地質標本館で、信州大・原山先生の北アルプスの火山に関する講演会をみんなで見学後、つくば駅近くで懇親会を行いました。



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