2012年 火山の会的避暑
〜都会のオアシス「等々力渓谷」でみる東京の大地の物語〜
2012年8月11日(土)
東京都世田谷区
8月11日、久々に東京近郊でのOFF会でした。 総勢20名。 |
事前課題 25000分の1地形図「東京西南部」を等高線で色分けして渓谷周辺の地形を確認するというもの。 完璧に色分けされていた方もいらっしゃいましたが、老眼系の方々は(私も含めて)途中でギブアップ。 私はとりあえず標高30mの線だけ鉛筆でなぞりましたが、途中市街地で標高線が二股に分かれたり、気が付いたら25mラインをなぞっていたりと、かなりレベルの高い課題でした。 |
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集合場所 等々力渓谷下流側、谷沢川と丸子川が交差している場所。 地図で見ると川が交差している場所です。 いったいどうなっているのかが最初の興味でしたが、行ってみて納得。 |
谷沢川は自然な流れの川ですが、丸子川のほうは一旦谷沢川に全水量が落ちて、下流側へは谷沢川からポンプで くみ上げて下流側に渡していました。 川えびやカワニナが豊富な川で、都心の清流をきれいに残しているなかなかよい工夫だと思います。 |
最初の勉強会 大石さんが分かり易いモデルを使って本日の観察ポイントに関するレクチャーをしていただきました。 |
渓谷の入り口にはかなり簡略化した説明版があります。 |
渓谷遡上 まず最初の段丘面である武蔵野面が見えてきます。 木々が茂っているところがそれです。 |
電波式流速観測装置 ドップラー効果を使って谷沢川の流速を観測しているようです。 |
不動滝 ほんの少し歩いただけで不動滝に着きました。 今回のメインがここ。 等々力不動尊の下にある急崖で地層の合間から湧き水が出ています。 |
ここはきれいな地層が3層見えています。 一番下が渋谷粘土層と言われる浅い海に堆積した地層です。 その次が礫層で、かつてここに川が流れていたことがわかります。 一番上が陸上に積もった関東ローム層です。 礫層は水を通し、粘土層は水を通さないので、地下水が粘土層の上にたまり、こうした崖からその水が湧き 出します。 溶岩末端崖にも似たようなところがありますね。 |
最下層の粘土質地層 かつてここが海だったということは、海水面がここより も高い位置にあったということで、12.5万年前の最終間 氷期時代の堆積ということです。 太古の海生生物の化石が見つかるかもしれません。 |
中段の礫層 川が流れるということは当然ここが陸だったことになり ます。海水面が下がって、扇状地となったことを表すよ うです。 よく見るとたしかに小さな丸い礫が多数含まれています。 |
上段のローム層 川の流路が変わる等して、水が流れなくなると火山灰やレス等がたまってローム層となります。 この層の中にはHk-TPと呼ばれる箱根東京軽石層も含まれているようで、これからこの地層の年代がだいたい 6万年前以降に堆積したものだとわかります。 |
一通り見終わったあと、再度、大石さんから詳細な地層に関するレクチャーを受けます。 |
不動滝上流 ここでも粘土層と礫層が観察できました。きれいな層序をよく見ると浅い海であったことを想像させるラミナ構 造も見て取れます。 礫層の粒径が現在の多摩川のものより小さいのは、当時の寒冷気候のせいで、降水量が少なく、大きな礫が下流 まで流されてこなかったということです。 |
大石さんの段丘面講座 多摩1面、2面、下末吉面、武蔵野面、立川面の作り方をわかりやすく説明していただききました。 段丘の生成史ってなかなかわかりにくいのですが、この模型を使うとたちどころに理解できます。 |
水質検査 不動尊の湧き水を参加者で手分けして検査してみました。 |
結果は・・・ まあ、飲めなくも無いが、やめておいたほうがいいかも・・位の水質でした。 |
ゴルフ橋付近 渋谷粘土層よりもさらに古い上総層群だそうです。 |
河川争奪現場 矢沢川はもともと等々力不動尊のほうではなく、大井町線に沿った流れだったようですが、湧き水による侵食が上流に進み、矢沢川にぶつかったところで、こちら側に流路を変更させたようです。 河川争奪とはなんともエキサイティングな命名ですな。 |
暑気払い 大石さんお勧めの、はもや鮎をとり入れた京料理で舌鼓を打ちました。 これが一番の目的。 |
参加された皆様、お疲れ様でした。 |